R&Dの皆さんの商品名の次のチャレンジはシズルワード、商品をより魅力的に表現するための重要な要素です。
シズルワードとは、五感を刺激し、食欲を掻き立てる言葉のことです。例えば、料理の焼ける音「ジュージュー」、食材の輝き「ツヤツヤ」、香りのイメージ「芳醇な香り」などが挙げられます。これらの言葉は、視覚や聴覚、嗅覚といった五感に訴えかけることで、商品のおいしさをより鮮やかに表現し、消費者の購買意欲を刺激する役割を果たします。
R&Dのみなさんがシズルワードについて理解を深めることで、開発された商品がどのように消費者に伝わるのかをより具体的にイメージできるようになります。これにより、マーケティングや広報部門との連携がスムーズになり、商品開発の初期段階から消費者の視点を取り入れることが可能になります。
人は情報の8割を視覚から得ると言われています。そのため、TVCMやWeb広告など、視覚的な情報が重要な役割を担う現代において、シズルワードを活用した商品コミュニケーションは非常に重要です。R&Dの段階から、マーケティングや広告代理店に伝えるべき基本情報を言語化することで、より効果的な商品プロモーションに繋がります。
1.五感を刺激するように描写する
読者が味や香りを想像できるような具体的な表現を使うことが重要です。
- 視覚を刺激する表現 :視覚的な要素を強調することで、読者に料理の見た目や質感を想像させます。
- 例: 黄金色に焼けた表面に、ほんのり光るオリーブオイルがきらめく
- 例: クリームが滑らかに盛られ、苺の赤が鮮やかに映える
- 聴覚を刺激する表現 : 音を想像させることで、料理の調理過程や食感を生き生きと描写します。
- 例: ジュワッと肉汁がはじける音が、フライパンから聞こえてくる
- 例: パリッとした皮が一口ごとに心地よい音を立てる
- 触覚を刺激する表現 :食べた時の食感や、料理を手に取った感触を伝えます。
- 例: ふんわりとしたパンケーキが、口の中でやさしく崩れていく
- 例: カリカリの外側と、しっとりした内側が絶妙なコントラストを生む
2.臨場感のある言葉を使う
「焼ける」「溶ける」「はじける」「カリッと揚がる」など、食べ物が動きや変化を感じさせる動詞を使うことで、料理の状態が生き生きと伝わります。選択する動詞によって食材が目の前で調理されているような臨場感が生まれるようにします。
- 焼ける ➡ 焦げる :軽く焦げ目がついて、香ばしさが感じられる状態を表現します。 例: 軽く焦げたチーズが香ばしく漂う
- 溶ける ➡ とろける :滑らかに変化し、食べ物がやさしく崩れていく様子を強調します。 例: バターが熱々のパンケーキの上でとろけていく
- 揚がる ➡ ぱりっとする :揚げ物や焼き物のカリカリ感、パリパリした食感を表現します。 例: 皮がぱりっと焼き上がった鶏肉が、ひと口ごとに食感を楽しませる
- しみこむ ➡ 染み渡る :調味料や味が内部までじんわりと浸透する感覚を表現します。 例: スープのだしがゆっくりと染み渡り、野菜に深い味わいを加える
3.擬音語・擬態語の活用する
日本語ならではの「ジュワッ」「カリッ」「ふわふわ」といった擬音語・擬態語を使うことで、お客様が召し上がるその瞬間の音や食感を感じられます。シズル感を伝えるには、これらの言葉を効果的に使うのが有効です。下記は最近の流行を反映した例です。
- ザクザク :最近のスイーツやフライ系食品の食感を表現する際によく使われます。特に、クランブルやフライド食品のカリカリ感を強調するために使われることが多いです。 例: ザクザクとした食感が楽しめるクランブルチョコレート
- シュワシュワ :炭酸飲料や泡のあるドリンク、またはスパークリング系のスイーツに対してよく使われる表現です。特に若年層の間で、軽やかな炭酸や泡立ちを表す言葉として人気です。 例: シュワシュワと弾けるレモンスカッシュが爽快感を与える
- もちもち :パンやスイーツ、特に日本風のデザートや食感を楽しむ料理に使われることが増えています。最近はパンケーキやチーズを使った料理にもよく使われます。 例: もちもちとした食感のパンケーキが口の中で心地よい
- パリパリ :特に軽い揚げ物や焼き物で、外側が薄くてカリカリしている食感を伝える際によく用いられます。焼いたピザや揚げた春巻きなど、様々な料理に使われています。 例: パリパリの春巻きが食欲をそそる
- ふわとろ :「ふわふわ」と「とろとろ」の組み合わせで、卵料理やクリーム系のデザートに多く使われています。特にオムレツやスフレ系のスイーツで最近流行している表現です。 例: ふわとろのオムレツが口の中でとろける
これらの擬音語・擬態語は、料理の特定の質感や食感を強調するために近年特に人気を集めており、SNSや広告でも頻繁に使われています。食べ物のシズル感を伝える際に、こうした新しい表現を取り入れることで、流行に敏感な若年層にも響きやすくなっています。
これらの言語表現を組み合わせることで、視覚や聴覚に頼らなくてもシズル感を文章でうまく伝えられます。製品コミュニケーションの種を開発することは、R&Dのみなさんが自らの開発品に語らせる言葉を賦与するということです。是非ともチャレンジしてください。

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