文書が最小化されていれば、トレーサブルな開発プロセスの構築は容易です。スイムレーンを作りましょう。
スイムレーンは、業務フローを横方向に複数の「レーン」に分けて、各レーンに関連する担当者や部門のアクションを示します。この方法を使うことで、複数の作業がどの順番で、どの部門や担当者によって行われるのかが明確に示され、業務の流れが一目で分かるようになります。
1.スイムレーンの構成要素
- レーン(Swimlanes)
- 各レーンは特定の担当者、部門、もしくはチームを示します。
- 横に並ぶレーンは、プロセス内の異なる役割や担当者が行うタスクを表します。
- アクション(アクティビティ)
- 各レーン内には、実行される具体的な作業やアクションが順番に並べられます。
- アクションは、矢印やフローを使って順序を示します。
- フロー(Flow)
- アクション同士の流れを矢印で示します。これにより、業務の進行方向や依存関係が明確になります。
2.スイムレーンを使う利点
- 業務の可視化
- スイムレーンを使うことで、複数の担当者が関わる業務プロセスが視覚的に理解しやすくなります。どの担当者がどのタスクを担当しているのか、どのタイミングで他の担当者と連携する必要があるのかが明確に分かります。
- 責任の明確化
- 各レーンが特定の部門や担当者に対応しているため、誰がどの作業を行うかが一目で分かり、責任の所在がはっきりします。
- プロセスのボトルネックを発見
- 複数の担当者が関与するプロセスでは、どこで遅延や停滞が起こりやすいかを特定しやすくなります。スイムレーンを使うことで、効率化すべき箇所が見えてきます。
- コミュニケーションの改善
- 関連部門間でどの情報をいつ、どのように共有すべきかが明確になります。これにより、情報伝達の誤解や遅れを減らすことができます。
3.スイムレーンの作り方
スイムレーンは主に以下のステップでつくられます。
- 業務プロセスを洗い出す
- 最初に業務フローの全体像を把握し、どの担当者や部門が関わるのかを整理します。
- 各レーンを設計する
- 各担当者や部門を示すレーンを作成します。例えば、製造部門、品質管理部門、営業部門などです。
- 業務の流れを可視化する
- 各部門や担当者が行うアクションを順番に並べ、矢印で流れを示します。この際、アクションを記録文書名で記載するとトレーサビリティを確保したプロ背うが確立されます。連動するアクションはトリガーとなる先行するアクションと連動先を矢印で結びます。
- プロセスの最適化する
- スイムレーンを使ってプロセスの流れを確認し、無駄なステップや遅延を改善します。
4.RACIを各アクションに付記します。
RACIは、業務やプロジェクトにおける役割と責任を明確にするためのフレームワークです。RACIは、4つの役割を示す頭文字から成り立っています
- Responsible(実行責任者)
- 実際にタスクを実行する人やチームを指します。仕事を進める「担当者」です。
- Accountable(最終責任者)
- タスクの最終的な成果に対して責任を持つ人です。実行責任者を監督し、最終的な結果に対して答える立場です(通常1人)。
- Consulted(助言者)
- タスクを実行する際に、知識や意見を提供する人です。積極的に意見を求められる存在で、双方向のコミュニケーションが必要です。
- Informed(報告を受ける人)
- タスクの進捗や結果について定期的に情報を受け取る人です。意思決定に関与しないが、状況を把握しておく必要がある人です。
効率的な開発プロセスの構築は決して難しくありません。文書の棚卸(不要文書廃止)➡棚の作り直し(スイムレーン作成)➡文書の配置(アクションのトレーサビリティ確保)➡最適化(RACI設定)でどんな会社でもどんな工場でもできるようになります。


