デザインレビューその中で…

品質保証

量産試作適正に行われないことが少なくないように感じています。最近の食品開発を見ていると、「なぜ初回製造前にリスクを予見し、不具合を解消することができなかったのか」と、忸怩たる思いをすることが少なくありません。特に、工場での量産試作が十分な評価を受けることなく、商談用サンプルの確保だけで終わってしまうことの弊害を強く感じています。

このような状況の背景には、以下のような要因があると考えています。

  1. 営業活動の優先 :商談用サンプルを早期に確保することで、営業活動を迅速に開始できるためです。特に、大手小売業や外食チェーンとの商談機会を逃さないよう、評価よりも商談用サンプルの準備を優先する傾向が見られます。
  2. 時間的制約 :新製品の市場投入を急ぐあまり、十分な評価期間を確保できない場合があります。特に、季節商品や競合他社に先んじて発売したい商品では、評価プロセスを省略してでも商談用サンプルを早く用意しようとすることが多いです。
  3. コスト削減圧力 :量産試作には多くのコストがかかるため、詳細な評価を行うよりも最小限の試作で商談用サンプルを作成し、顧客の反応を見てから本格的な開発を進めるという判断が優先される場合があります。
  4. 顧客フィードバックの重視 :商談用サンプルを早期に顧客へ提示することで、実際の市場ニーズに合わせた製品開発が可能になると考えられることがあります。このため、社内での詳細な評価よりも、顧客からの直接的なフィードバックを優先する傾向があります。
  5. 評価の重要性に対する認識不足 :製品開発プロセスにおける量産試作の重要性が十分に認識されていない場合があります。特に、経営層や営業部門が早期の商談を重視しすぎることで、評価に必要な時間が十分に確保されないことが見受けられます。

このような背景を踏まえ、製品開発プロセスを改善するためには、デザインレビューの重要性を再認識することが不可欠です。特に、量産試作において適切な評価項目と基準を設定することが求められます。また、R&D、QA、マーケティング部門、製造部門など、多様な専門家が参加するレビューを実施することで、より包括的な評価が可能になります。このような取り組みによって、不具合を未然に防ぎ、製品の完成度を高めることができるのではないでしょうか。

では、量産試作どのように評価するか? 食品安全、食品品質、労働安全の3つの観点で評価することを強く薦めします。

① 食品安全の観点

造プロセスや製品そのものの安全性を確認し、潜在的なリスクを事前に排除することで、消費者に安全で安心できる製品を提供します。

  • 材料の安全性確認
    • 使用する原材料が異物やアレルゲン汚染などのリスクを伴わないかを確認。
    • 仕入先の管理や原材料のトレーサビリティを強化。
  • 製造工程のリスク評価
    • 加熱工程や冷却工程での微生物管理(例:HACCPによる重要管理点の設定)。
    • 異物混入リスクがある作業環境や設備の問題を洗い出し、対策を講じる。
  • 保存性や衛生性の検証
    • 試作品を用いた保存試験で、賞味期限や保管条件を決定し、安全性を保証。
    •  

② 食品品質の観点

製品が狙った品質基準を満たすかを確認し、量産時の安定した品質を実現することで顧客にとって満足度の高い製品を安定的に提供します。

  • 風味や食感の検証
    • 試作品の味、香り、食感などを評価し、製品設計段階で設定した仕様を満たしているか確認。
    • 調味料の配合や製造工程が品質に与える影響を調整。
  • 工程条件の最適化
    • 製造設備の設定(加熱温度、時間、撹拌速度など)を調整し、製品特性が一貫して再現されることを確認。
  • 包装材料の適合性確認
    • 製品が変質しないよう、包装材料の選定やシーリング強度を確認。

③ 労働安全の観点

現場作業者の安全性を確保するための製造工程や作業環境の改善することで、作業者の健康と安全を守り、労災リスクを最小化します。

  • 作業手順の安全性評価
    • 工程内で発生する潜在的な危険(熱、刃物、圧力など)を試作段階で特定し、改善策を設計。
    • 作業者が直感的に理解しやすいマニュアルの作成。
  • 設備・動線の最適化
    • 作業者が安全に設備を操作できるよう、動線や作業スペースを検証。
    • 設備の保護装置や非常停止スイッチの有効性を確認。
  • 負担軽減の検討
    • 試作段階での作業負荷を測定し、人に優しい作業環境を設計。

量産試作は、食品安全(リスク排除)、食品品質(狙った特性の実現)、労働安全(作業環境の整備)という3つの要素が密接に絡み合うプロセスです。この段階での十分な検証と調整が、量産時のスムーズな運用と高い製品信頼性を実現し、顧客満足や従業員の安心感に直結します。

さらに、食品加工工場での試作・開発フローを最適化し、各ステップでの評価を確実に行いつつ、商談用サンプルの準備も並行して進めることで、商品の品質向上と市場での成功確率を高めることができます。

そのためには、文書・記録類は最小限に留めて管理し、関連部署の各活動の権限を明瞭化することが有効です。

タイトルとURLをコピーしました