入退場を徹底管理する
工場への来訪者、工場を職場とする方とは異なり、現場に根差した食品安全、プロセス安全、労働安全、環境安全などを受けずに作業区域内に入ってきます。それでも、監査者や機械の修理のエンジニアなど、来訪自体を制限できないものもあります。来訪自体が予測できるなら、十分に備えるしかありません。ただ実際のところ、、十分の備えている工場は殆どないといってよいでしょう。具体論を下記に挙げますが、皆さんの工場で重大な欠落が無いことを確認してみてください。
1. 事前準備
- 事前確認と承認手続き
- 訪問者の目的、訪問日時、立ち入り範囲を事前に確認し、必要な承認を得る。
- 必要に応じて、身分証明書の提示を求め、事前登録を行う。
- 訪問者リストを工場管理者とセキュリティ担当者に共有する。
- 必要な防護服(袖口・裾口が締まるフード付きジャンプスーツ、ヘアネット、キャップ、マスク、シューズカバー、髭カバーなど)の個数、サイズをか確認する。
- 来訪前教育用資料と誓約書の準備
- 食品安全、衛生管理、安全ルールの遵守を誓約する書面を準備。
- 立入制限エリアや禁止行為(機械操作、設備への接触など)を明記する。
- 労災発生時の責任範囲を明確にし、保険加入の有無を記録できるようににしておく。
- 「入場誓約書」「守秘義務契約(NDA)」を準備する。
- 教育受講者の署名・日付を記録し、工場の監査証跡として保管できるようにしておく。
- 工場担当者の指導・監督
- 工場担当者が外部者を案内する際の、安全ルールの遵守を確認する。
- 必要に応じて注意喚起や指導を行い、違反時には速やかに是正できるように是正方法を確認する。
- 記録を適切に管理し、次回の訪問時にも活用できるよう整備。
2.来訪時健康管理チェック
- 来訪者は工場関係者に会う前に別室に招き入れる。
- 伝染病や体調不良の有無を確認し、体調不良者の入場を制限する。
- 咳・喉の痛み・倦怠感・胃腸症状などがある場合も、食品安全の観点から入場を制限する。
- 必要に応じて、直近の健康診断結果やワクチン接種状況を確認する(特に長期間作業する場合)。
- 渡航歴の確認
- 直近の海外渡航歴(特に感染症流行地域への渡航)を確認し、必要に応じて一定期間の立ち入り制限を設ける。
- 国内の感染拡大地域への訪問歴も考慮し、状況に応じて入場可否を判断する。
- 体温チェック
- 工場到着前に自己測定を推奨し、37.5℃以上の発熱がある場合は入場不可とする。
- 必要に応じて、工場入口で非接触型体温計を用いて再測定し、異常があれば対応ルール(待機・報告・入場制限)を適用する。
- 皮膚疾患や傷の有無を確認し、必要に応じて防護具を装着させる。
3.入場時の管理
- 来訪時健康管理チェックに問題が無かったことを確認する。
- 食品安全・食品防御の教育
- 工場内での衛生管理基準、異物混入防止策(香水や過剰な化粧品の不使用を含む)、行動制限エリアを説明。
- 緊急時の対応手順(避難ルート、緊急連絡先)を周知。
- 入室・移動時のルール(必要箇所のみ立入可、機械操作禁止)を徹底。
- 労災リスクに関する安全教育
- 工場内の危険箇所(高温エリア、可動機械、化学物質使用場所)を説明。
- 適切な防護具(ヘルメット、安全靴、保護手袋など)の着用指示。
- 応急処置の対応方法や救護設備の設置場所を確認。
- 「入場誓約書」「守秘義務契約(NDA)」 に署名してもらう。
- 防護服・衛生管理の徹底
- 工場指定の防護服(袖口・裾口が締まるフード付きジャンプスーツ、ヘアネット、キャップ、マスク、シューズカバー、髭カバーなど)を必ず着用させる。
- 手洗い・消毒の実施を義務付け、手順を指導する。
- 皮膚疾患や傷の有無を確認し、必要に応じて防護具を装着させる。
- 持ち込み物の制限とチェック
- 禁止物品(異物混入のリスクがあるもの)のリストを作成し、明示する。
- 食品や飲料、個人用のバッグ、工具の持ち込みを制限する。
- 必要な機器(カメラ、計測機器、工具など)は事前に登録し、退出時にチェックする。
- スマートフォンやカメラを持ち込む場合には、防水ケースに入れるなどで可能な限り万が一の破損の備えた措置を取る
- 装飾品(指輪、腕時計、ピアス、ネールなど)を外させる。
- 場内での無許可での機器の使用を禁ずることを明確に伝える。
- 入場前手順の工場担当者による指導(工場担当者が事前説明を行い、以下のルールを伝達)
- どこで着替えるか、何を着用するか
- 手洗い・消毒の方法。
- 立入禁止区域や作業エリアでの行動制限
- 監査者・技術者が規則を理解したかを確認(理解度チェックや質問受付)
- 防護服の適切な着用
- 着替えエリアの指定(更衣室・クリーンルーム)
- 適切な防護服の着用(作業エリアに応じたもの更に必要であれば、防塵ジャンプスーツ、キャップ、手袋、シューズカバーなどを追加して準備する)。
- 防護服はジャンプスーツやキャップの色に識別性をもたせ訪問者の属性が工場内の作業者に容易に分かるようにする)
- 着用不備がないかを工場担当者が目視確認(例: 髪の毛や髭が露出していないか、マスクが正しく装着されているか、ジャンプスーツの袖口・裾口から私服のはみだしがないかなど)
- 異物混入防止と衛生管理ルール
- 筆記用具・機材の持ち込み制限(許可されたもののみ)
- 作業エリアでの飲食・喫煙禁止(専用エリアを指定)
- 製造ラインに手を触れないよう指示(必要なら手袋交換)
- 粘着ローラーを適切に使用させる(服装だけでなく眉毛・髭にも専用のものを用意する)。
- 手洗い・消毒の徹底(実施方法を具体化工場担当者が率先して見本を見せ、訪問者個々を目視確認する)
- 手洗いの流れを明示(ポスター・動画活用)
- 指示例: ①爪の間 ②指の間 ③手首までしっかり洗浄(20秒以上)
- 洗浄後の乾燥後に、アルコール消毒の義務付け(指先・爪の間を真っ先に行う。大抵の工場はこれができていません。 )
- 異物混入リスク低減(指輪・腕時計・ネイル未着用を工場担当者が目視確認する)
- エアシャワーの適正使用。特に頭部と脇の下に風が当たるように手順を定めます。
- 退出時の手順と確認
- 防護服の正しい廃棄・回収(指定エリアで脱衣し、ゴミ箱または洗濯ボックスへ)
- 手洗い・消毒を再実施(異物の外部持ち出し防止)
- 記録簿への記入(必要に応じ、退場時間・担当者サインを残す)
- 工場担当者の役割:
- 入場時・作業中・退出時に着用ルールや衛生管理が守られているかチェック
- 問題があれば即時指摘し、是正指導を行う
- 必要に応じて訪問者のチェックリストや記録簿を管理
4.工場内での注意点
- 立ち入り範囲の厳格管理
- 必要な区域以外への立ち入りを制限し、案内担当者が同行する。
- 機密情報や工程データにアクセスできるエリアでは、必要に応じてブラインドや遮蔽措置を行う。
- 記録と監視の強化
- 監視カメラや入退室記録を利用し、行動を記録する。
- 必要に応じて、訪問者に見学用の識別証や腕章を着用させる。
- 製品や原料への接触制限
- 直接、食品や原材料に触れることを禁止し、万が一の際の報告ルールを徹底する。
- サンプル採取や製造機器の操作は禁止し、必要な場合は許可を得る。
5.退出時の管理
- 防護服に一切の破損が無いことを確認します。破損は即ち異物混入リスクです。直ぐに現場に連絡します。大抵の工場はこれができていません。
- 持ち出し品のチェック
- 持ち込んだ機器・ツールと持ち出すものが一致しているか確認する。
- 文書、写真、データの持ち出しがないかチェックし、必要に応じて許可制とする。
- フィードバックと記録
- 訪問後に問題点や異常がなかったか確認し、記録を残す。
- 改善点があれば、関係者で共有し、今後の管理強化に活かす。
お家につくまでが遠足です。来場者を無事に退場させるまで、すべての工場関係者は決して気を抜いてはなりません。

