安全文化を可視化し評価するために、「安全文化の8軸モデル」が提唱されています。これは以下の2つの基盤から構成されています:
リレーションの基盤 (ソフト面):
①. リーダーシップ
リーダーシップは、安全文化を構築するための中心的な役割を果たします。上層部や管理者が安全を最優先に考え、日々の業務や方針に反映させることで、組織全体に安全意識が浸透します。リーダーシップは単に指示を出すだけでなく、自らが模範を示し、全従業員に対して安全に対する真剣な姿勢を示す必要があります。
②. コミュニケーション
効果的な安全文化には、良好で透明性のあるコミュニケーションが欠かせません。上層部と現場、部署間、さらには個々の従業員間で、安全に関する情報や課題が正確に伝わり、共有されることが重要です。オープンなコミュニケーションは、問題を早期に発見し、迅速に対応するための基盤となります。
③. トレーニング
安全文化を維持するには、従業員が適切な知識とスキルを持っていることが不可欠です。安全に関する教育や訓練を継続的に実施し、新しい技術や手順に対応できるようにすることが重要です。また、事故や不安全行動を防ぐための実践的な訓練が必要です。
④. 責任
各従業員が、自分の役割と責任を明確に理解し、その責任を果たすことが求められます。これには、全体の安全のために個々がどのように貢献するべきかを明確にし、ルール違反や不安全行動に対して責任を持つ文化の醸成が含まれます。
オペレーションの基盤 (ハード面):
⑤. 評価
安全文化を発展させるには、現状を正確に評価する仕組みが必要です。事故やヒヤリハットのデータ、従業員の安全意識の調査、現場の観察などを通じて、改善点を見つけ出し、フィードバックを提供します。これにより、継続的な改善が可能となります。
⑥. 学習
事故やインシデントから学び、同じ過ちを繰り返さないようにすることが、安全文化の発展において不可欠です。これには、問題が発生した際にその原因を徹底的に分析し、組織全体で教訓を共有するプロセスが含まれます。
⑦. 協力
安全文化を構築するためには、個人間や部署間での協力が不可欠です。全員が安全を最優先とする共通の認識を持ち、互いに支え合うことで、組織全体の安全意識が向上します。特に、異なる職種や立場の人々が協力することで、幅広い視点から安全リスクを検討できます。
⑧. 持続可能性
安全文化を一時的な取り組みに終わらせず、持続的に改善・発展させることが求められます。組織として安全に対する長期的なビジョンを持ち、定期的に安全方針や対策を見直し、変化に適応していくことが重要です。
この8軸をバランスよく向上させることが、総合的な安全文化の醸成につながります。

