5つの要素が日本人の当たり前を形成します。身に覚えがある方も多いでしょう。
1.文化と伝統
日本のマナーや習慣は、深い文化や伝統に基づいています。特に神道の影響が強く、自然や物に神が宿るという考えから、環境や他者への敬意が大切にされています。神社での手を清める儀式や家の中の清潔さは、「清め」の思想を反映しています。季節ごとの行事や自然への感謝も、日常生活に浸透しています。
2.教育
日本の学校教育では、規律と集団行動が重視されます。掃除の時間に生徒が自ら校内を掃除することで、公共の場を大切にし、協力する精神が育まれます。給食を通じて礼儀や感謝を学び、集団としての意識も強化されます。
3.家族の影響
日本の家庭では、年長者を尊重し、家族内の調和が重視されます。例えば、食事では最年長者が先に箸をつける習慣があり、これが敬意を表します。昔は、家族で助け合いながら生活することが一般的で、世代を超えたつながりが大切にされていました。
4.社会規範と法律
日本では、法律やルールを守ることが非常に重要です。横断歩道を渡る、電車内で静かにする、ゴミの分別を守るといったことは、他人に迷惑をかけないための基本的な常識です。これらの規範を守ることが、社会全体の秩序を保つ要素になっています。
5.メディアと社会の影響
メディアは、日本人の常識に大きな影響を与えます。自然災害時の防災情報は広く伝えられ、防災意識が社会全体で共有されています。また、ニュースやドキュメンタリーを通じて、他国との比較や社会問題への意識が高まり、国民の行動や考え方に影響を与えています。
5つの要素が日本人の当たり前を形成します。身に覚えがある方も多いでしょう。だからこそ、日本人の当たり前は、海外企業からみて下記の5つの日本への参照障壁になります。
① 空気を読む文化
日本では言葉にしなくても気持ちを汲み取るのが大事。これがなかなか難しく、慣れないと戸惑うことが多いです。
② 厳しい礼儀
お辞儀や名刺交換など、細かいルールが多く、移民の方々にとって最初は複雑に感じるかもしれません。
③ 集団主義
個人よりもグループ全体の調和が大事。個人主義に慣れていると、集団に合わせるのが大変かもしれません。
④ 敬語と感謝の多さ
日本語には丁寧さが求められ、敬語も複雑。加えて、感謝や謝罪の言葉も頻繁に使うので、慣れるまで時間がかかります。
⑤ 公と私の区別
公共の場では静かに振る舞うのが基本。これに慣れていないと、どこでどう振る舞うべきか迷うことが多いです。
当然、日本で販売されるものの品質レベルは当たり前を超えていかなければなりません。製造品質はもちろんのこと、企画品質(コンセプト)と設計品質(パフォーマンス)が元々高くなければ市場の評価に耐えられなければなりません。
もっと言えば、日本の当たり前に理解のない海外企業に日本の要求品質を最初から超えていくのは無理というものです。輸入品を扱うQAの心得るべき当たり前の一つです。

