特に日本で外資系企業に勤める方々に

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日本法人でいかに高い成果を挙げていても、それがグローバル本社に伝わらなければ、評価や将来の登用にはつながりません。特に外資系企業においては、「言語としての英語力」ではなく、以下のような“国際的な場での表現と発信の力”が認知の鍵を握ります。

1. 丁寧な英語表現・敬意の伝え方

「命令形を避ける」「I would like to…」「May I confirm that…?」など、場面に応じた丁寧な言い回しは、英語圏でも重要です。敬意ある話し方は、単なる言語スキルではなく、信頼されるビジネスパーソンとしての必須要素です。

2. 公的な場での会議・議論マナー

「Thank you for giving me the floor.」「I see your point, but…」など、国際会議や公式な場では、発言の流儀が暗黙の了解として存在します。論点を明確にしながらも、丁寧に、簡潔に伝えることで、聞き手からの理解と共感が得られます

3. 日本との違いを理解したふるまい

“察する文化”が通じない場では、「言葉にすること」が存在の証明です。自分の意見・立場を明確に述べる一方で、相手の文化や考え方への敬意を持ち、対話を通じて価値を築く姿勢が問われます。

4. 相手の評価軸に合わせた戦略的プレゼン力

“何をどう伝えるか”は、聞き手の立場で設計するもの。
たとえば、「この改善が本社KPIにどう貢献するか」「グローバル方針と整合しているか」など、相手の視点で成果を語る力が、国境を越えた説得力を生みます。

5. 聞き手の納得を引き出すストーリーテリング力

ただ事実を並べるだけでは人は動きません。背景、困難、判断理由を含めて語ることで、「なぜこの人に任せたいか」という感情的納得を得ることができます。自己主張ではなく、“価値の共有”を促す語りが鍵です。

6. 発言の場を自ら作る積極性

外資系においては、待っていても登用されません。**「こんな知見があります」「現地の視点としてこれを共有したい」**と自ら発信の機会を創出することが、本社からの認知や信頼につながります。

「英語が話せれば十分」「技術があれば認められる」——そう思っていませんか?
ですが、外資系企業で本社に認知されるためには、それだけでは不十分です。

たとえあなたが現地工場主導的に指導しても、グローバル本社は“見える・聞こえるもの”しか評価できません。だからこそ、「何をやったか」だけでなく、「どう伝え、どう理解を得たか」が問われるのです。

多国籍間でのリモート会議の場で、私の知人に「You know…」を繰り返してしまう人がいます。しかしその言葉は、自信のなさや考えの浅さを無意識にさらけ出していることに肝心の御当人が気づいていません。

発信するとは、語彙や言い回しで取り繕うことではありません。内容を持って、相手の理解と信頼を得ることです。

黙々と仕事をすることが美徳とされてきた日本的価値観は、グローバルの舞台では通じません。本社に認知されたい、後進に道を拓きたいと考えるなら(そういう方が増えて欲しいのですが、、、)、あなた自身が“発信する責任”を自覚し、行動を変える必要があります。

発信力は、もはやグローバル人材の「おまけ」ではありません。評価される人に共通するのは、“語れる力”を持っていることです。「どれほど誠実に、確かな仕事を積み重ねてきても、それを言葉にして伝えなければ、気づいてもらえないことがあるんです。

だからこそ、“語る力”は、あなたの歩みをそっと後押しし、本当に届いてほしい相手に、あなたの価値を伝える手段になるのだと思います。

因みに、みなさんは話し相手が本当に真剣がゆえに自分の話を聞いてくれたうえで、I don’t understand your English.とかI don’t believe youなんて言われたことはありますか。そういう経験がある人はとても運がいいです。そういう時には、多分、日本人の英語なんて端から相手にしていないことも多いと経験的には思います。

そういう時には、まずI’d greatly appreciate it if you could understand my opinion, even just a little. 或いは I very much value your efforts to assure the rigor and benefit of ◯◯ for … くらいは言えるようにしておかないと。会議準備不足は相手に失礼ですし、あなた自身の傲慢さの表れです。

最後は、Thank you for your feedback. I appreciate your patience. Could you kindly offer some advice on how I could improve my English for better understanding? です。向上心と敬意を表して邪険にする人はそうはいません。

余談ですが、私がグローバルな飲料メーカーのR&DのGreater China担当R&D Managerとしてグローバル職に選任されてしばらくしてのち、マスは娘を英国留学させないのと英国R&D本部のラボテクニシャンに尋ねられたことがあります。彼女はとても高貴な英国英語の使い手でした。私が娘たちをまずは日本の理系大学に進学させたいと答えると彼女はこう答えました。マス、あなたの娘たちにはあなたのような英語を話して欲しくないわと。。。

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