工場内で可能な限り異物を発生させない。
典型例を考えてみましょう。
異物防止戦術 2.最少化 Minimize
工場内で可能な限り異物を発生させない。典型例を考えてみましょう。
1. プラスチック製器具をステンレス製に変更
- プラスチック製器具が破損した際、プラスチック片が製品に混入するリスクがあります。
- プラスチック製のヘラやスコップ、トレーなどをステンレス製に変更することで、破損時に発生する異物リスクを減らします。ステンレスは丈夫で耐久性があり、破片が発生するリスクが少なく、清掃もしやすいため、衛生管理にも有効です。
2. ゴム製備品をシリコン製に変更
- ゴム部品が摩耗したり、ひび割れて小さなゴム片が製品に混入するリスク。
- ゴム製部品(例:ゴム製ヘラなど)をシリコン製部品に変更することで、摩耗やひび割れによる異物混入リスクを軽減できます。シリコンはゴムに似た柔軟性を持ちながら、耐久性が高く、ひび割れや摩耗が少ないため、異物の発生を抑えることができます。勿論、物性的に許容できればステンレス製に代えるのがもっと望ましいです。
3. 濾布を金属製のフィルターに変更
- 濾布が破れて繊維塊が製品に混入したり、ネル濾布の綿状繊維塊が剥離して混入するリスク。
- 布製フィルターを金属製フィルターに変更することで、繊維塊が混入するリスクを排除できます。加えて布製フィルターを長期使用すると、劣化して目開きが大きくなるのに対し、金属フィルターは破れにくく長期間性能が変わることなく使用できます。
4. 食品包装材の改善(袋や容器の素材変更)
- 破損したプラスチック袋や容器が異物となるリスク。
- 対策と実例:食品の品質を長期間保持するためにバリア性の高いフィルムが普及しましたが、これによりパッケージが開封しにくくなる問題が生じました。このため、開封時にハサミやナイフを使用しますが、適切に開封しない場合にフィルム片が混入します。この課題を解決したのが、易開封性(直線カット性)フィルムです。このフィルムは、特定の方向に沿って簡単に裂ける性質を持ち、工具を使わず手でまっすぐ切ることが可能です。
5. 清掃作業の改善(掃除用具の材質変更)
- 清掃用具(モップや掃除機)の破片や繊維が製品に混入するリスク。
- 掃除用具や作業道具を耐久性のある素材に変更したり、使い捨てのモップを使用することで、掃除による異物混入を防ぎます。特に食品工場では、掃除用具の管理が重要です。
異物の発生を抑えるためには、使用する素材や部品の見直し、機械や作業環境の改善を積極的に行うことが重要です。上記のように、素材や器具を強化したり、設計段階で異物混入リスクを低減することが、異物を最小化するための有効な方法です。

