異物防止戦術 4.管理 Manage

品質保証

異物検出機器の導入は、異物が工場内に混入した後にそれを検出するための「リアクション」として機能しますが、最も重要なのは異物が発生しないようにするためのプロアクション(事前の予防策)です。

異物検出機器は最終的な保険の役割を果たしますが、異物の発生そのものを防ぐことが、リスクを最小限に抑えるためには欠かせません。

今日、食品における異物混入は、完全に根絶すること難しいのが現実です。

そのため、異物管理は”Control”(制御)だけでなく、”Manage”(管理)の概念で取り組むことが重要です。異物管理は”Manage”(管理)として捉えることで、異物のリスクを最小限に抑えつつ、万が一混入が発生した場合に迅速かつ適切に対応できる体制を整えることができます。これにより、異物混入のリスクを総合的に評価・対応し、事後の対応力や予防策を強化することが可能となり、食品の安全性を維持できます。

さて、猫も杓子も異物検出機器導入の昨今ですが、最新技術の確認は異物検出機器の導入前に非常に重要です。特に、検出技術は急速に進化しており、新しい技術がより高精度で効率的な異物検出を提供する可能性があります。

1. 新しい検出技術の精度向上

高精度な検出: 最新技術では、より小さな異物や非金属異物(例えばプラスチックやガラス)の検出能力が向上しています。従来の金属探知機だけでなく、X線検査機や光学式、カメラを利用した検出技術など、精度の高い異物検出が可能になっています。

複数の異物に対応: 新しい機器は金属異物に加えて、異物の種類を識別したり、異物の形状やサイズを判別する能力が強化されているため、より多様な異物に対応できます。

2. 自動化とAI技術

AIによる異物検出: 最近では、人工知能(AI)を使った異物検出技術が登場しています。AIは異物のパターン認識を学習することができ、過去の異物混入データを元に最適化された検出精度を提供します。また、AIは人間の目では見逃しやすい微細な異物を検出することができます。

自動化: 一部の新しいシステムは、異物の検出だけでなく、異物が見つかった場合に自動で製品を排除したり、検査結果を即座に報告する機能を持っています。これにより、より効率的かつ迅速な対応が可能になります。

3. リソースの節約

エネルギー効率: 最新技術の機器は、従来型のものに比べてエネルギー効率が向上していることが多く、運用コストを削減できます。例えば、より少ないエネルギーで高精度の異物検出が可能なシステムもあります。

コストパフォーマンス: 初期投資が高くても、長期的には運用コストや検査時間の短縮により、コストパフォーマンスが優れる場合もあります。

4. カスタマイズ機能

製品特性に合わせた最適化: 最新技術の機器は、特定の製品に合わせて設定をカスタマイズできる場合があります。製品の形状、成分、包装状態に応じて、最適な検出モードを選択できるため、異物検出の精度が向上します。

5. 規制・基準への対応

最新規制への準拠: 異物検出機器は、食品業界における規制や基準に対応するために進化しています。特に、欧州や米国などで新たに制定された規制に準拠するために、機器が最新の基準を満たしていることが求められる場合があります。最新技術を取り入れることで、これらの規制にも迅速に対応できます。

異物検出機器の導入においては、最新技術を確認することが極めて重要です。技術の進化により、異物検出の精度や効率が大幅に向上しているため、自社の生産環境に最適な技術を選ぶことで、異物混入リスクをより低減することができます。

masskun

食品産業で働く現役R&D、QA実務者のサポートを願って経験共有のブログを始めました。
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因みに私は60代の食品技術者。製品開発および品質保証の仕事をしてきました。清涼飲料や流動食などの液体フォーマットが中心です。ただ、業務用食品卸売業や衛生紙製造業の企業にも勤務経験があり、多様な食品、容器包装に加え資材の経験もあります。

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