監査は定期試験

品質保証

監査は、工場が規定通りに運営しているかを確認する「定期試験」のようなものです。中学・高校の試験が成績を左右するのと同じように、被監査者の工場にとって監査結果はその信頼性や管理能力を示します。試験前に勉強するように、工場も監査前に基準やルールを把握し、内部監査で準備を整えます。模擬試験を受けて問題を把握するように、企業も定期的に監査を行い、実際の監査に備えます。何よりその統括をするのはQAで、下記のアクションを確実化することが重要です。

1.監査対応者の選任

①監査担当者の選定:本社・工場QA、工場製造・品管

  • 監査基準に精通しており、現場の状況に理解がある担当者を選任します。本社品質保証部門に加え、工場からは特に品質管理部門や製造管理部門の中で、監査の目的や重要性を理解しているスタッフを中心に選びます。
  • 監査対応者は、監査時に求められる書類や記録を迅速に確認できるよう、事前に教育と訓練を受けておく必要があります。

②各シフトに担当者を配置

  • 24時間稼働の工場の場合、シフトごとに監査対応者を配置することが重要です。例えば、早朝、昼間、夜間の各シフトに監査担当者を指定し、それぞれが監査対応できる体制を作ります。
  • シフトごとの担当者が監査基準や品質管理手順を理解しており、監査対応の一貫性を保てるようにします。

③監査対応の役割分担

  • 監査担当者が現場での記録管理や報告書作成を主導する場合、その他のスタッフと役割分担を明確にしておきます。例えば、各部署の担当者が必要なデータを提供し、監査対応者がそれを集約・整理する形で進行します。

④情報共有と引き継ぎの仕組み

  • 各シフト間で情報共有がしっかりと行われるように、シフト交代時に監査に関する進捗状況や指摘事項を引き継ぐ仕組みを整えます。例えば、簡単な報告書やチェックリストを利用して、前シフトの担当者から次の担当者へと情報を伝達します。

2.監査基準の徹底的な理解と準備

① 監査基準の収集

  • 監査求める顧客から提供される監査基準書、チェックリストを詳細に確認します。これにより、どの項目が評価されるか、どの基準を満たす必要があるかを理解します。

② 自社マニュアルとの照合

  • 自社のHACCP計画、SOP(標準作業手順書)、その他のマニュアルと監査基準を照合し、不足している部分や改善点を見つけます。自社の管理方法が監査基準に沿っているか、必要な追加の手順があるかを確認します。
  • 照合する際には、項番(文書内の項目に割り当てられた番号。項目番号とも呼ばれます)照合表を作成するのが肝心です。

③ 実際の記録との照合

  • マニュアルと記録がついになることを確認し、照合表に追記します。
  • 製造記録、検査記録、温度記録などを実際に確認し、これらの記録が自社のマニュアルや手順に従っているかを確認します。
  • 記録が正確で完全であることを確認することが重要です。

④ 用語の統一

  • 監査基準で使用される用語と、自社で使用している用語との間に食い違いがないか確認します。例えば、温度管理に関する用語や検査基準などの不一致を解消することで、誤解を防ぎます。

⑤ 監査項目ごとの担当者指定

  • 各監査項目に対して担当者を明確に指定し、その責任範囲を明確化します。これにより、監査時にスムーズな進行と責任の所在を明確にします。

3. ドキュメントの準備と整理

① 文書管理システムの整備

  • すべての関連文書(マニュアル、記録、報告書など)を体系的に管理し、迅速にアクセスできる状態にします。文書管理ソフトウェアなどを活用して効率的に整理します。

② 文書の最新化

  • すべての文書が最新版であることを確認し、古いバージョンの文書は破棄または適切な場所に保管します。古い文書が使用されないように管理します。

③ トレーサビリティ記録

  • 原材料の入荷から製品の出荷まで、すべてのトレーサビリティ記録を監査で要求される形式で準備します。原材料のロット番号、製造日時、出荷先などが追跡できる状態にします。
  • 追跡所要時間は事前のシミュレーションすることも重要です。

④ 教育記録

  • 従業員の教育記録は、教育内容、受講者、日時、実技試験の結果などを詳細に記録し、適切に保管します。これにより、教育が適切に実施されていることを証明できます。

⑤ 是正処置記録

  • 過去に発生した問題に対する是正措置の記録を整理し、その効果を評価できる状態にします。改善策の実施結果やその効果についての確認を行います。

⑥ 変更管理記録

  • マニュアルや手順書に変更があった場合、その経緯や承認履歴を記録します。変更点が反映されているか、変更の理由とその承認プロセスが記録されていることを確認します。

4. 現場の準備と改善

① 衛生状態の徹底

  • 工場内の清掃、消毒、害虫駆除などを徹底し、常に清潔な状態を保ちます。衛生管理は食品安全の基本であり、監査で重点的に評価される項目です。

② 設備の点検・整備

  • 製造設備や計測器を点検し、必要な修理や調整を行います。機器が適切に作動していることを確認し、故障や不具合がないかをチェックします。

③ 異物混入防止対策の強化

  • 異物混入防止対策を再確認し、効果的な新たな対策を検討します。異物検出機器や作業エリアの整理整頓が重要です。

④労働安全衛生対策の強化

  • 「危険源の特定と対策: 危険な箇所や作業を特定し、対策を講じる。」、「安全教育の徹底: 従業員全員が安全に関する知識と意識を持つように教育する。」、「法令遵守: 労働安全衛生法をはじめとする関係法令を遵守する。」の3点を徹底する。

⑤作業者の身だしなみ

  • 作業者の衛生管理を徹底します。作業着の着用、手洗い、手指消毒などを確認し、衛生基準に従っていることを徹底します。

⑥ 5Sの徹底

  • 「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の5Sを徹底し、清潔で安全な作業環境を確保します。作業場の無駄をなくし、効率的で安全な生産体制を維持します。

⑦現場での記録確認

  • 現場で実際に記録が作成されているか、記録内容が正確かを確認します。記録の内容が監査基準に適合していることをチェックします。

⑧記録の保存状態

  • 記録が適切に保管され、破損や紛失がないかを確認します。デジタル記録や紙の記録が適切に管理されているかも確認します。

5. シミュレーションと教育

① 模擬監査の実施

  • 監査者役(顧客を理解する営業が担当したり、サポートする必要があります。)を立てて、実際の監査を想定したシミュレーションを行い、問題点を事前に洗い出します。実際の監査に備えた準備を行います。

② 従業員への教育

  • 監査の目的、重要性、監査時の注意点などを従業員全員に周知徹底し、意識を高めます。監査の重要性を理解させ、全員が協力する体制を作ります。

③ 教育記録作成のシミュレーション

  • 監査者が記録を確認する場面を想定し、従業員に記録作成方法を再確認します。適切な記録の作成方法を習得させます。

④ Q&Aの準備

  • 監査中に想定される質問に対する回答を事前に準備します。従業員が監査でスムーズに対応できるように準備します。

6. その他の準備

①監査に備える上での心構え

  • 監査は改善のチャンスとして捉え、誠実に対応する心構えを持ちます。監査者と良好な関係を築き、適切に対応する姿勢を持つことが重要です。

②緊急時の対応

  • 停電、火災、異物混入などの緊急事態が発生した場合の対応マニュアルを整備し、従業員に周知します。緊急時の迅速な対応ができる体制を整えます。

③内部監査の実施

  • 定期的に内部監査を実施し、改善点を早期に発見し、是正します。内部監査を通じて、日々の管理体制を強化します。

④サプライヤーへの協力要求

  • 原材料を供給するサプライヤーに対して品質管理に関する要求を明確にし、協力体制を構築します。サプライヤーと連携して品質基準を守る体制を作ります。

⑤データの電子化

  • 可能な限り、データを電子化し、検索性を高めます。紙の記録だけでなく、デジタル化された記録も活用して効率化を図ります。

⑥ 記録の重要性の認識

  • 記録は品質管理体制を証明する重要な証拠です。正確な記録作成を徹底し、適切に保管します。

監査は、企業の成長や信頼性を高めるための「試験」で、準備と改善を繰り返すことで、安定した品質と社会的責任を果たすことができます。

工場が監査に十分な準備をすることは、中学・高校生が定期テストで良い結果を出すために勉強するのと同じです。テスト勉強を怠れば結果が悪くなるように、準備不足の工場は問題点を指摘され、信頼を損ねるリスクがあります。一方、しっかり準備をすれば、自分たちの強みを示せるだけでなく、改善点を明確にし、成長につなげる機会になります。

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