管理業務じゃ全然足りないQA

品質保証

最近の啓発本でよく見られるのですが、管理職に求められる主な能力は、以下の4つだそうです。これらの能力は、生来的な資質として持っていなくとも、意識的に行動する必要はありますが後天的に身につけることが可能とされます。

  1. 企業指針や戦略を組織に浸透させる能力
  2. 業務を円滑に進めるコミュニケーション能力
  3. 業務をスムーズに遂行させるマネジメント能力
  4. 組織を成長させるための人材育成能力

恐らくこれは極めて人事部門的な見方だと想像しています。 その影響か、加工食品メーカーのQA部門において、上級管理職が求められるのは、マネジメントスキルと監査管理能力であるという風潮が広がっているようです。しかし、QAという役割においては、単に管理業務をこなすことだけではなく、製品開発やシステム開発に対する深い専門知識が求められることを忘れてはなりません。専門知識がなければ、部下の指導や問題解決において十分な成果を上げることはできません。

部下の指導においては、専門知識があればこそ、部下の質問に対して的確に答えることができ、より深いレベルで指導することができます。これにより、部下の成長を促し、チーム全体のスキルアップに繋がります。また、問題解決においても、専門知識を有していれば、問題の原因を正確に把握し、適切な解決策を導き出すことができます。特にQAの現場では、迅速かつ正確な判断が求められるため、専門的な知識は不可欠です。

1. 食品化学と分析技術

食品化学の深い理解は、製品の品質管理に不可欠です。例えば、食品の成分分析や保存技術、香りや味の生成メカニズムを理解することにより、製品開発段階からの品質確保が可能になります。また、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)や高速液体クロマトグラフィー(HPLC )を用いて微量成分や不純物の検出を行うことが、製品の安全性を確保するためには必要不可欠です。

2. 食品微生物学と微生物管理

QA部門において、食品微生物学の知識は非常に重要です。特に発酵食品やプロバイオティクス、さらには有害微生物(例:リステリアやサルモネラ)への対応策を理解し、製造現場での微生物管理を適切に行うことが求められます。

リステリアやサルモネラは食中毒の原因菌として知られており、これらを効果的に監視し、管理することが品質保証の一環として必要不可欠です。

食品業界では耐熱性菌や耐熱性の微生物についても注意が必要です。例えば、耐熱性の芽胞を形成するクロストリジウム属やボツリヌス菌は、高温での殺菌プロセス後でも生存する可能性があり、これが製品の品質や安全性に重大な影響を及ぼすことがあります。特に缶詰やレトルト食品など、高温殺菌を行う製品においては、これらの耐熱性微生物の管理が重要です。

また、病原菌の検出にはPCR技術という方法が広く使われていますが、これは微生物のDNAを特定する技術です。この技術を使うことで、目に見えない病原菌でも、早期に発見することができ、品質や安全性を守るための対策を講じやすくなります。

3. 食品の遺伝子組み換え技術(GMO)とその規制

遺伝子組み換え技術(GMO)は、現代の食品業界において重要なトピックです。GMOを使用した製品のQAには、その安全性を評価する深い知識が必要です。特に、GMOに関連する国際的な規制(Codex Alimentarius、EU規則、FDA基準など)や認証システムについて理解し、適切な検査や管理方法を実践することが求められます。また、遺伝子組み換えの有無を高精度で検出する技術(例えばPCR技術)を用いた検査体制の構築が、消費者への信頼を守るためには不可欠です。

QA部門の上級管理職は、製品の品質を守るために、製品開発の初期段階から積極的に関与し、リスク管理や改善策の提案を行う役割を担っています。このため、専門知識を持っていれば、より的確なアドバイスを行い、製品の品質向上に貢献することができます。さらに、問題が発生した際には、根本的な原因を特定し、迅速に対応することができ、製品の品質や生産効率を向上させることが可能となります。

専門知識は、部下の成長を促すためにも重要です。部下に対して専門的なスキルや知識を共有し、実務での応用方法を指導することは、チーム全体のスキルアップに繋がります。また、専門知識を持つ管理職は、部下にとって信頼できる指導者となり、成長を支援する存在となります。

QA部門において、管理職が持つべきはマネジメントスキルだけでなく、製品やプロセスに関する深い専門知識です。専門知識を深め、常に最新の情報を取り入れ、部下を適切に導くことこそが、部門の成功と企業の成長を支える鍵となります。

QAスキルマッピングテンプレートを使って自身や部署の自己診断を行ってみてください。勿論、実状に合わせて改良するのも当然ありです。

マス君お勧めの1冊:まずこれを読む!

食品の安全・衛生包装: 防虫・異物・微生物対策と包装の品質保証

古いけど良書。基本知識をまとめて習得するならこれ。

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