現在、サプライチェーン部門の品質保証部門に勤務しています。昨今、地球温暖化によると思われる異常気象、各地で発生する戦争により、供給網が予測不能な問題や混乱に直面しても、壊れ難く、迅速に対応・回復できる能力、プライチェーン・レジリエンシー、即ちサプライチェーンの強靭性が以前にもまして重視されています。レジリエンシーは単なる耐久性に加えて柔軟な適応力も備えており、状況の変化に対応して早期に正常運営を再開できることを意味します。結果として、安定した運営を持続的に保つことができます。
同様に製品開発においても強靭性は重要です。R&D・ロバストネスです。その構成要素は下記になります。
1.明確な製品要求事項の設定
- 官能特性、栄養特性、賞味期限、包装要件、規制や適合性の要件など、製品仕様を明確に定義する。
2.原材料の調達とサプライヤー管理
- 優れた原材料を信頼できるサプライヤーから調達するための強固なシステムを構築する。
- サプライヤーの適格性評価、品質管理、トレーサビリティ対策を実施する。
3.配合設計とプロセス開発
- 製品配合と加工条件(温度、時間、圧力など)を最適化するための徹底した研究開発を行う。
- ベンチスケールの試験を実施する。
4.パイロットプラントでのテスト
- 実際の商業生産を小規模に模擬したパイロットプラントで、プロセスの詳細な検証と調整を行う。
5.商業生産への拡大
- パイロットからの拡大生産に際し、コントロールポイントと設備を適切に移管・検証する。
6.品質管理と品質保証
- 原材料検査、工程監視、最終製品試験など、生産全工程での徹底した品質管理を実施する。
- 文書化された手順とデータ管理による包括的な品質保証システムを確立する。
7.食品安全とHACCP
- 原材料から製品に至る全ての重大な危害要因を特定し、管理するHACCPシステムを構築する。
8.規制への準拠
- 表示、食品添加物、製品カテゴリー別要件など、すべての関連法規を満たすことを確認する。
9.継続的改善
- 顧客フィードバック、消費者インサイト、新技術の進展を取り入れ、製品開発プロセスを定期的に見直し、最適化する。
10.部門間の連携
- 研究開発、品質管理、オペレーション、規制対応、マーケティングなど、関係する部門間での緊密な協力と効果的なコミュニケーションを促進する。
私がグローバル職としてのR&Dマネジャーだったこと、トップマネジメントから求められるのは、開発時に工程の強靭性、配合の強靭性により最終製品の品質保証を可能ならしめることでした。想定する工場は自社(メイク)と委託先(バイ)の両対応です。不測の事態も動じない製品開発です。
R&D職にある方はこの機会に考えてみてください、これらの必要性と達成度を。


