今そこにある危機!

品質保証

食品産業は、人々の生命と健康を支える公共性の高い産業です。しかしその裏側で、いまや製造業の中でも労働災害の発生件数が突出して高いという、看過できない課題に直面しています。統計上、食料品製造業は全製造業の中で死傷者数が最多の業種となっており、働く人の安全が十分に守られているとは言い難いのが実情です。

1. 現場に潜む構造的な危険要因

この背景には、食品工場特有の過酷な環境があります。高速稼働するカッターやミキサーへの「はさまれ・巻き込まれ」、洗浄作業による水濡れ床での転倒、冷凍設備周辺の結露、そして重量物の反復作業。これら構造的なリスクに加え、深刻な人手不足による教育訓練の不足が、安全対策の“ほころび”を広げています。

2. 「生産優先」という風土の罠

現場では「納期」や「歩留まり」が優先され、「少しくらいの無理」を美徳とする空気が、安全よりも生産を優先させてしまう風土を助長しがちです。本来徹底すべきロックアウト・タグアウト(LOTO)を省略し、「ちょっと手を入れるだけ」という不安全行動が常態化することは、重大災害へのカウントダウンに他なりません。“慣れ”や“我慢”に依存した安全は、非常に脆く、破綻しやすいものです。

3. 安全衛生を「経営課題」へ

私たちは「食品産業は労災多発業種である」という厳しい現実を直視しなければなりません。安全衛生は、品質管理やコンプライアンスと同列の最優先経営課題です。

ハード面: ガード、インターロック、非常停止装置といった「本質安全設計」への投資と、リスクアセスメントに基づく設備改良。

ソフト面: 形式的なKYT(危険予知訓練)を脱し、現場の声を反映させた生きたルール作り。

食品安全(HACCP)で培った「危害要因の予防管理」という思想は、そのまま労働安全にも適用できます。危害要因管理の思想を共通言語に考えることがとても重要です。「たまたま事故が起きていないだけの危険」を放置せず、不安全な状態を“是正すべき不適合”として捉え直すことが不可欠です。

「安全なくして生産なし」。この原則を日々の意思決定の拠り所とし、現場で働く全ての人の命と健康を守る誇りある職場を、共に築いていきましょう。

マス君お勧めの1冊:まずこれを読む!

みんなでチェック! 危険な製造現場のイラスト事例集

イラストを用いた危険事例集です。まだ見ぬ危険への想像力を少しずつでも身につけましょう。

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