QA人材の強靭性確保に

品質保証

ジョブ型雇用の新卒採用が増え、R&D(研究開発)は人気の職種と言えます。しかし、QA(品質保証)はあまり注目されていないかもしれません。それでも、本当にR&Dを志す方には、まずQAでの経験を積むことをお勧めします。これはR&D職の基盤を築くために有益だからです。

QAを経験することで、以下の5つのスキルが身につき、R&Dに役立つ基礎が作られます。

1.製品品質に対する深い理解
品質基準や製造プロセスの知識を持つことで、新製品開発における品質目標を設定し、達成する力が養われます。

2.製造工程への知識の活用
製造プロセス全体を理解し、製品開発から製造へのスムーズな移行が可能になり、効率的な生産に寄与します。

3.顧客視点の強化
顧客のニーズを深く理解し、それに応じた製品を市場で提供できるようになります。

4.リスクマネジメント能力の向上
新しい技術や素材のリスクを予測し、未然に防ぐ力が身につきます。

5.規制や基準の知識の習得
法規制や業界標準を満たす製品を開発でき、法的リスクを回避できます。

これらの経験は、高品質な製品開発と市場での成功に不可欠です。しかし、QAを経験して自分にはR&Dが向いていないと感じる人もいるでしょう。そうした方々には、QAのプロフェッショナルを目指して欲しいと思います。R&DとQAには異なる素養が求められる点があり、その詳細はまた別の機会にお話しします。

次に、なぜR&D経験がQAに重要なのかという点について。最大の理由は、技術的専門性の習得です。QAは開発プロセスに深く関わり、R&Dをチェックします。しかし、開発に関する技術的問題を指摘できる知識や経験がなければ、その役割を果たせません。

QAがR&Dと協働するために重要な5つのスキルは次の通りです。

1.品質基準の理解
製品の品質基準や規制を深く理解し、品質管理を効果的に行えます。

2.リスク管理能力
製品の欠陥やリスクを予測し、適切な対策を講じる力が向上します。

3.検証プロセスの知識
試験や検査手順の理解が深まり、開発における品質保証に役立てられます。

4.コミュニケーションスキル
開発部門と品質保証部門の間で円滑に情報を共有し、調整する力が向上します。

5.問題解決力
品質問題の原因究明と改善策の策定に役立つスキルが身につきます。

最後に、豊田自動織機が2023年3月に発表した国内エンジン認証における法規違反に関する報告書も参考になるかもしれません。この報告書には再発防止策が含まれており、QAやR&Dに携わる方には有益です。ぜひ一読をお勧めします。

豊田自動織機 特別調査委会報告書(公表版)

masskun

食品産業で働く現役R&D、QA実務者のサポートを願って経験共有のブログを始めました。
質問大歓迎です。
お題を頂ければスライドにしてアップロードできると思います。お困りごと、共有ください。
因みに私は60代の食品技術者。製品開発および品質保証の仕事をしてきました。清涼飲料や流動食などの液体フォーマットが中心です。ただ、業務用食品卸売業や衛生紙製造業の企業にも勤務経験があり、多様な食品、容器包装に加え資材の経験もあります。

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