食品メーカーのR&Dやマーケティングには提案するサンプルは多ければ多いほど良いという者がいますが、やみくもに提案サンプル数を増やすことの弊害を理解していますか? 弊害と共に対策を列記します。
1. リソースの無駄
- サンプル数が多いと、試作、材料、製造、評価などに多くのリソースを無駄に使うことになります。
- 提案前に評価基準を明確に設定し、事前に選定するサンプルの数を絞り込み、リソースの最適化を図ります。
2. 評価が分散し、判断が難しくなる
- サンプル数が増えると、評価項目が分散し、どのサンプルが最も有望かを判断するのが難しくなります。
- 評価ポイントを絞り、重点的に評価できる基準を設定することで、比較しやすくします。
3. 開発サイクルの遅延
- 多くのサンプルを開発することで、製造から評価までのプロセスが長引き、開発サイクルが遅れる恐れがあります。
- サンプル数を早い段階で絞り込み、サイクルごとに適切な数のサンプルを選び、迅速に進めます。
4. チームの混乱と疲弊
- サンプルが多すぎると、チームのメンバーが混乱し、作業負担や意思決定が重くなり、モチベーション低下を招きます。
- サンプル数を絞ることでチームの負担を軽減し、各メンバーが集中できるようにします。また、段階的なフィルタリングで選定過程を簡素化します。
では、どうやって合理的に提案サンプル数を減らせるでしょうか?
提案先の短期記憶に配慮して、マジカルナンバー4(一般的に、人間が短期記憶に保持できる情報の最大数は通常4つ前後が最適とされる)を活用することは非常に有効です。特に提案やプレゼンテーションにおいて、受け手が情報を処理しやすくするために、以下のような方法でマジカルナンバー4を活用できます。
1. 提案内容を4つ前後のポイントに絞る
情報が多すぎると、受け手はどれが重要かを判断するのが難しくなります。提案内容を4つ前後の主要なポイントに絞ることで、受け手が短期記憶に保持しやすくなります。新製品の提案なら、例えば以下のポイントに集中します:
- 製品の特徴
- 市場のニーズ
- コストと価格
- 消費者の反応
- トレンド予測 など
このように、数を4つ前後に絞ることで、受け手は要点を簡単に把握しやすくなります。
2. 4つのオプションや提案を提示
もし選択肢を提示する場合、「A案」「B案」「C案」「D案」「E案」など最大5つの具体的な選択肢を提示することで、受け手はそれぞれの選択肢を比較しやすく、短期記憶に定着しやすくなります。
選択肢が多すぎると、どれを選べばよいか迷い、混乱する可能性があるため、4つ前後に絞ることが効果的です。
余談ですが、日本人は3択を好むとされます。理由は、陰陽思想の影響、柔軟性の表現、選択負担の軽減、中庸を重んじる文化、そして「3種の神器」のような文化的背景があるためです。
経験的には、捨て駒2つを意識して5つの試作品を準備することで、提案先には容易に本命・対抗・抑えを意図した3つの選択肢から、理解・納得いただき判断・選択いただくことが容易になることは提供の成功確率は高い印象があります。
3. 4つ前後の質問を設けてフィードバックを促す
提案の最後に、4つ前後の主要な質問を設定して、それに答える形でフィードバックをもらう方法もあります。これにより、受け手は重要なポイントを思い出しやすく、理解度を深めやすくなります。例えば:
- この提案は充分な差別的な特長を有しますか?
- 市場のニーズとどのように一致していますか?
- どのターゲット層に最も効果的ですか?
- 実行可能性に問題はありますか?
- 効果的な製品コミュニケーションは何ですか? など
開発した製品がどれほど売れるかは、商品の品質と、お客様にそれがどれだけ理解されているか、この2つの要素が掛け合わさって決まります。つまり、どんなに素晴らしい製品でも、お客様にその良さが伝わっていなければ、売れることはありません。
新しい製品を開発し、お客様に提案する際には、この『お客様の理解』を前提とした考え方を持つこともR&Dの基礎的なスキルです。
提案をする上で、マジカルナンバー4を意識して、提案資料を作成すれば、複雑な情報を整理し、聞き手に分かりやすく伝えることもできます。例えば、プレゼンスライドの情報量を箇条書きで5つ以下に抑えるのもスキルです。決して難しいことではありません。

