「安易な5Whys」が招く3つの危険性

品質保証

少人数で手軽に実施できる5Whysは、正しく使えば強力ですが、安易に選択すると以下のような「歪み」を生む危険があります。それは「似非5Whys」と言っても過言ではありません。

結論の恣意的な誘導(ストーリー作り) 

分析者が無意識に、解決しやすい原因(個人の不注意や教育不足)や、コストのかからない着地点へと論理を誘導してしまう「バイアス」がかかりやすくなります。

視野狭窄による真因の見落とし 

一本の論理の鎖を辿る特性上、特定の要因に固執すると、他の重要な要因(機械の構造的欠陥や環境要因など)が議論の遡上から消えてしまいます。

「人」への責任転嫁と萎縮 

少人数の閉鎖的な環境では、「なぜ忘れたのか」「なぜやらなかったのか」という追及に陥りがちです。これでは現場は「失敗を隠す文化」へと変質してしまいます。

l現場作業者を交えて「特性要因図」から始める意義

これに対し、最初から現場作業者を分析の主役に据え、特性要因図(4M+E)というフレームワークで議論を始めることには、極めて高い戦略的意義があります。

1.現場にしか見えない「小枝(要因)」の回収 

マニュアル(Method)通りにはいかない現場特有の「クセ」や、機械(Machine)の微細な違和感は、実際に手を動かしている作業者の中にしか存在しません。彼らを交えることで、図の枝葉は一気に具体性を増し、真因への精度が高まります。

2.「4M+E」による思考の強制的な拡張 

「人・機械・材料・方法・環境」という枠組みを全員で共有することで、個人の主観や好みに偏った分析を防ぎます。多角的な視点を持つことで、現場も「自分の不注意」ではなく「自分を取り巻く環境の不備」を客観的に指摘できるようになります。

3.「納得感」が生む、現場発の安全文化 

自分たちで原因を特定し、対策を導き出したプロセスは、そのまま強力な「教育」となります。自分たちの安全を守るためのルールであることを再認識することで、対策の実行力(再現性)は飛躍的に向上します。

l精密検査なき手術は無謀

原因究明のプロセスを医療に例えるなら、特性要因図は「全身をくまなく診る精密検査」であり、5Whysは「悪い部位を切除する手術」です。

精密検査(特性要因図)の役割 

患者(現場)のどこに異常があるのか、血液検査、レントゲン、CT(4M+Eの視点)を駆使して、先入観を持たずに全身を網羅的に診察することです。現場作業者の声という「生きたデータ」を反映させ、痛みの本当の所在を特定します。

➁手術(5Whys)の役割 

検査によって特定された「ここが諸悪の根源だ」という一点に対して、メスを入れ、病巣を深く取り除くことです。 もし精密検査を怠り、少人数で「ここが悪いことにしよう」と安易に決めて無計画に手術(5Whys)を始めてしまえば、健康な部位を傷つけるばかりか、本当の病巣(真因)を見逃し、手遅れ(重大事故の再発)を招くことになります。

③再発防止の根治治療は新たな開発

「現場作業者と共に精密検査を尽くし、真実が見えた時、初めて5Whysというメスを執る」、メスを取るのは高度に生産を理解したR&D、QAを中心に関連部署がR&Dがアシストする。この正しい手順の徹底こそが、食品安全と労働安全を一体として守り抜くための「プロの技術」であると、私たちは肝に銘じるべきです。本来の開発活動はイノベーションであり、リノベーションです。マイナーリペアではありません。

マス君お勧めの1冊:まずこれを読む!

特性要因図作成の基礎知識と活用事例-事例付き (シリーズ医療安全確保の考え方と手法)

医療安全と品質管理の考え方から入り、特性要因図の具体的な使い方・事例を紹介しています。切り口を変えて理解するのに役に立つ。

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